メディカルダイエット、メトホルミンの効果について、大阪の美容皮膚科医が解説
こんにちは、A&Oクリニック大阪中津です。
メディカルダイエットにおいてメトホルミン(Metformin)は、直接的な「やせ薬」ではないものの、体重管理に役立つ重要なサポート薬として広く使われています。
特に、インスリン抵抗性の改善を通じて脂肪蓄積を抑制し、代謝を安定させる作用が注目されています。
以下に、メトホルミンのメカニズム、ダイエットへの効果、メリット・注意点について詳しく解説します。
■ メトホルミンの基本的な作用メカニズム
肝臓での糖新生(糖の産生)を抑制する。
筋肉・脂肪細胞へのインスリン感受性を高める。
血中インスリン濃度を下げることで、脂肪蓄積を抑制する。
軽度の食欲抑制作用があるとされる(満腹ホルモンであるGLP-1を間接的に増やすため)。
つまり、血糖コントロールを安定させ、インスリン分泌の負担を減らすことで、脂肪がつきにくい体内環境を作る、というのがメトホルミンの基本的な役割です。
■ メディカルダイエットにおけるメトホルミンの効果
① インスリン抵抗性の改善による「太りにくい体質」への変化
インスリン抵抗性が強いと、血糖を下げるために大量のインスリンが分泌されます。
インスリンは「脂肪をためるホルモン」でもあるため、これが過剰になると脂肪蓄積が促進されます。
メトホルミンはインスリン抵抗性を改善し、脂肪の蓄積を抑え、自然な体重減少を促します。
② 食欲の安定化・間食の抑制
高血糖→低血糖→過食、という血糖のジェットコースター現象を防ぎ、食欲の波を穏やかにします。
特に、夕方から夜にかけての間食が減る傾向があり、無意識なカロリーオーバー防止に役立ちます。
③ 内臓脂肪の減少
メトホルミンは皮下脂肪よりも内臓脂肪を優先的に減らす効果があるとされています。
体重が大きく落ちなくても、腹囲の減少や体脂肪率の改善が見られるケースが多いです。
④ 糖尿病予防・アンチエイジング効果も
メトホルミンは肥満だけでなく、糖尿病発症リスク低減や**寿命延長効果(アンチエイジング効果)**も報告されており、健康意識の高い人にも注目されています。
■ メトホルミンのメリット
安価で安全性の高い薬剤(世界中で長年使用されている)
低血糖のリスクが非常に低い(単剤使用なら)
長期的な体重管理に向いている
インスリン抵抗性がベースにあるタイプの肥満に特に効果的
■ 使用上の注意点
胃腸障害(吐き気・下痢・腹痛)が初期に出やすいため、通常は少量からスタートして徐々に増量します。
ビタミンB12欠乏が長期使用で起きる可能性があるため、定期的な血液検査が推奨されます。
重篤な副作用として乳酸アシドーシスがありますが、腎機能が正常であれば非常に稀です。
アルコール大量摂取や脱水状態には注意が必要。
■ メディカルダイエットにおけるメトホルミンの立ち位置
マンジャロ(GLP-1/GIP作動薬)やリベルサス(GLP-1作動薬)などの強力な減量薬の補助薬としても使われることがある。
特に、体重減少後のリバウンド予防、長期的な体質改善目的で採用されるケースが多い。
無理な食事制限をせず、代謝を底上げしながら健康的に体重をコントロールする手段として優れています。
■ まとめ
メトホルミンは、
インスリン抵抗性改善
食欲安定化
内臓脂肪減少
などを通じて、体重コントロールに間接的ながら確かな効果を発揮する薬剤です。
単独で大幅減量を狙う薬ではありませんが、リバウンド防止・体質改善・糖代謝の正常化を目的に、メディカルダイエットの中で非常に有用な位置づけとなっています。