タトゥーレーザー除去、ピコレーザーで取れにくいのは何色か?大阪の美容皮膚科医が解説
こんにちは、A&Oクリニック大阪中津、美容皮膚科医の加藤晃司です。
今回は、タトゥーレーザー除去、ピコレーザーで取れにくいのは何色か?について解説します。
タトゥーのレーザー除去において、**ピコレーザー(ピコ秒レーザー)**は、短いパルス幅で高エネルギーを照射することで色素を細かく粉砕し、体内の免疫システムで効率よく排出されやすくする治療法です。従来のナノ秒レーザーと比べて熱ダメージが少なく、効果的に色素を分解できるため、多くの色のタトゥーに対応できる優れた治療法とされています。
しかし、ピコレーザーでも特定の色は除去が難しいとされており、特に緑色と黄色のインクは取りにくい色として知られています。以下、ピコレーザーが特定の色に対して取りにくい理由や、それに対する対策、複数の波長を用いた施術の工夫について詳しく解説します。
1. ピコレーザーで取れにくい色とその理由
緑色のインクが取れにくい理由
波長の吸収特性:ピコレーザーでは一般的に532nm、755nm、1064nmといった波長が使用されますが、これらの波長は緑色のインクには反応がしにくいです。特に、タトゥー除去でよく使われる1064nmの波長は黒や青系の色には効果が高いものの、緑色への吸収が弱く、色素を効率的に破壊できません。
インクの成分と耐光性:緑色のインクには耐光性の高い成分が使用されていることが多く、これにより色素が分解されにくく、体内への排出も遅れがちです。緑色は他の色と比べて複数の顔料が混ざり合っていることが多いため、単一の波長で完全に分解することが難しいとされています。
対応策:緑色のタトゥー除去には、ピコレーザーの755nm波長を使ったアレキサンドライトピコレーザーを併用することが効果的な場合があります。また、施術回数を増やし、色素が徐々に分解されるように慎重に治療を進めることも重要です。
黄色のインクが取れにくい理由
色の吸収特性の問題:黄色は、波長の吸収が低いため、光に対する反応が弱く、タトゥー除去の際にレーザーがうまく反応しません。黄色のインクは明るく、肌とのコントラストも低いため、ピコレーザーでも効果的に分解しにくいです。特に、532nmや1064nmといった波長では吸収が弱く、十分な破壊が難しいとされています。
色素の構造:黄色のインクも、耐光性や耐熱性が高い成分が含まれていることが多く、分解されても肌に色素が残りやすいという特徴があります。特に黄色やオレンジといった明るい色素は、施術後も肌にわずかながら残留しやすいため、完全に除去するには根気が必要です。
対応策:黄色の除去には、可能であれば複数の波長を使用し、色素に合わせて異なるレーザーの設定を組み合わせることが有効です。ピコレーザーに加え、異なる機器を併用することや、施術の間隔を空けて徐々に除去していく方法が推奨されます。
2. 他の色に対するピコレーザーの効果
ピコレーザーは、以下のような色に対しては比較的高い効果を発揮します。
黒:ピコレーザーの1064nm波長は黒色インクの除去に非常に効果的です。黒色は全波長の光を吸収しやすいため、効率的に色素が破壊され、除去が進みやすい色です。
青・濃紺:1064nmや755nm波長は青色にもよく反応し、黒色に次いで効果的に分解される色です。青や濃紺のインクは肌とのコントラストが高く、レーザーによる破壊がしやすいです。
赤:532nmの波長を使用すると赤色のインクも効果的に除去できます。ただし、赤色もインクの成分によっては残留しやすいため、複数回の施術が必要な場合があります。
3. ピコレーザーの波長と色素への効果の仕組み
ピコレーザーは、短いパルス幅(ピコ秒)で高エネルギーを照射することで、色素を微細な粒子にまで粉砕し、体内の免疫システムによって排出されやすくします。しかし、レーザー光が色素に反応するためには、色とレーザーの波長が一致して吸収されやすいことが重要です。各色が持つ吸収特性と照射する波長の組み合わせが合わない場合、分解効率が低下し、色素が残りやすくなります。
ピコレーザーの波長ごとに、以下のような効果が期待されます。
532nm:この波長は赤やオレンジ系のインクに強く反応し、効果的に色素を破壊します。ただし、皮膚のメラニンにも反応しやすいため、色素沈着や色抜けのリスクがあるため注意が必要です。
755nm:アレキサンドライト波長で、特に青や緑色に対して効果的ですが、黄色やオレンジに対する反応はやや低めです。
1064nm:黒や濃紺に対して強力に作用し、肌への影響も少ないため、広範囲の黒色タトゥーや深い色合いのインクに最適です。
4. タトゥー除去における多波長ピコレーザーの使用と工夫
ピコレーザーの中でも、複数の波長を使用できる機器(多波長ピコレーザー)を用いることで、さまざまな色のインクに対応することが可能になります。緑や黄色といった取りにくい色の除去には、この多波長対応のピコレーザーが非常に有効です。各色に合わせた波長を使うことで、異なる色素に対して最適なエネルギーが供給され、より効率的に分解されます。
多波長ピコレーザーの使用例
緑色の除去に755nmを使い、赤色の除去に532nmを使用するなど、色素に合わせて異なる波長を使い分けます。
施術間隔を適切にあける:ピコレーザーで色素が破壊された後、体が色素を排出するのに数週間かかるため、複数回の施術を行う際には、3〜6週間の間隔を空けるのが理想的です。
5. ピコレーザーと他の治療法の併用について
緑色や黄色といった取りにくい色を効率的に除去するために、ピコレーザーと他の治療法を組み合わせることも検討されます。例えば、Qスイッチレーザーなど異なるレーザー機器を併用することで、色素に応じた柔軟なアプローチが可能です。
Qスイッチレーザー:特定の色に対してピコレーザーよりも効果的な場合があるため、ピコレーザーと併用することで取りにくい色素の分解を助けます。
皮膚のケアを並行する:レーザー治療後の色素沈着や炎症を抑えるため、医師の指導のもとで保湿や鎮静剤の使用、日焼け対策を徹底し、肌の状態を整えながら治療を進めることも重要です。
まとめ
ピコレーザーは、短いパルス幅で色素を細かく破壊するため、タトゥー除去に非常に効果的ですが、緑色や黄色、明るい色のインクは取りにくいとされています。これらの色は波長の吸収が低く、分解が難しいため、施術回数を増やし、場合によっては多波長対応のピコレーザーや他のレーザー機器を併用することで、効果を高めることが推奨されます。
また、施術後の肌ケアや施術の間隔を守りながら、時間をかけて少しずつ色素を減らしていくアプローチが効果的です。取りにくい色に関しては、専門医と相談し、個々の色素に最適な施術プランを立てて進めることが重要です。
当院では無料でスタッフカウンセリングを行なっております。
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Summary on Removing Tattoo Colors with Pico Laser: What Colors Are Difficult to Remove?
Pico lasers are highly advanced tools for tattoo removal, thanks to their ultra-short pulse durations that fragment ink particles efficiently, minimizing skin damage. While highly effective for many colors, some ink colors pose challenges, particularly green and yellow. Below, I explain why these colors are more resistant and how modern techniques address these challenges.
Why Are Green and Yellow Inks Harder to Remove?
Green Ink:
Absorption Spectrum Challenges:
Green ink poorly absorbs the commonly used wavelengths (532nm, 755nm, 1064nm). Most lasers target dark colors like black and blue more effectively, while green inks require specific wavelengths, such as 755nm (Alexandrite).
Ink Composition:
Green inks often contain pigments with high lightfastness, meaning they resist breaking down under laser exposure. The chemical complexity of green pigments further complicates removal.
Yellow Ink:
Low Light Absorption:
Yellow ink reflects much of the light spectrum and absorbs very little. This characteristic makes it challenging for lasers to generate sufficient energy to fragment the pigment effectively.
Contrast with Skin:
Yellow ink has low contrast with lighter skin tones, making it difficult for lasers to differentiate the ink from surrounding tissues.
Easier Colors to Remove
Black:
Black ink absorbs all wavelengths, making it the easiest to target and fragment.
Commonly targeted with 1064nm (Nd
) lasers.
Blue and Dark Blue:
These colors respond well to both 755nm (Alexandrite) and 1064nm lasers.
Red:
The 532nm wavelength effectively removes red ink, as it is well-absorbed by red pigments.
Strategies to Improve Removal of Difficult Colors
1. Multi-Wavelength Lasers
Modern pico lasers often come with multiple wavelengths, such as 532nm, 755nm, and 1064nm. By combining these, clinicians can adjust the treatment to target specific ink colors more effectively:
Use 755nm for green ink.
Combine 532nm and 1064nm for layered tattoos with multiple colors.
2. Increase Treatment Sessions
Green and yellow inks typically require more sessions compared to black or blue inks. Spacing treatments 6–8 weeks apart allows the body to process fragmented pigments and minimize risks like scarring.
3. Alternative Laser Technologies
In some cases, Q-switched lasers (nanosecond lasers) may complement pico lasers for stubborn colors, as their longer pulse durations can sometimes be more effective for certain pigments.
4. Topical Support Treatments
Pre- and post-treatment skin care, including moisturizers, sunblock, and anti-inflammatory agents, help optimize laser outcomes by maintaining healthy skin and reducing risks of hyperpigmentation or scarring.
Key Points for Patients Considering Pico Laser Tattoo Removal
Custom Treatment Plans:
Each tattoo is unique in ink type, depth, and location. Consulting with a specialist ensures a tailored approach.
Realistic Expectations:
Black and blue inks are easier to remove entirely.
Green and yellow inks may require more sessions and could leave faint traces depending on their composition.
Patience and Care:
Laser removal is a gradual process, requiring consistency in treatments and proper skin care.
Conclusion
Pico lasers are highly effective for tattoo removal but face challenges with green and yellow inks due to their absorption properties and chemical composition. Combining multi-wavelength lasers, alternative laser systems, and a strategic treatment plan maximizes the chances of successful removal. Consulting a qualified practitioner ensures the best outcomes while minimizing risks.