メディカルダイエット、ゼニカルの有効性について、大阪の美容皮膚科医が解説
こんにちは、A&Oクリニック大阪中津です。
メディカルダイエットにおいて、
ゼニカル(一般名:オルリスタット)は、
▶ 「脂肪の吸収を抑える」という独自の作用機序を持つ医薬品です。
結論から言うと、
▶ 食事から摂取した脂肪の吸収を30%程度カットすることで、体重減少をサポートする効果があり、有効性も臨床研究で確認されています。
以下、詳しく解説します。
■ ゼニカル(オルリスタット)の特徴
食事中の脂肪を腸で分解・吸収させない薬
体に吸収されることなく、摂取脂肪の約30%を便中に排泄させる
脳や全身に直接作用するタイプ(食欲抑制剤)ではないため、神経系への影響がないのが特徴
日本では未承認ですが、アメリカFDAでは肥満治療薬として正式承認されており、欧州・アジアでも広く使われています
■ メカニズム(作用機序)
ゼニカルは、
▶ 腸管内のリパーゼ(脂肪分解酵素)を阻害することで、脂肪を小さな分子に分解させず、そのまま体外に排出させるという仕組みです。
つまり、
普通は食事の脂肪がリパーゼによって分解されて体内に吸収されますが、
ゼニカルを服用すると、脂肪が分解されず、吸収されずにそのまま便になって排出されます。
▶ これにより、摂取エネルギーを強制的に減らすことができるのです。
■ 有効性(どのくらい痩せるか)
プラセボ(偽薬)と比較して、体重減少量が明確に上回ることが、複数の臨床試験で示されています。
【平均効果】
半年~1年で、体重の5〜10%の減少が見込まれます。
食事制限や運動療法と組み合わせると、
さらに体重減少効果が増強されます。
✅ 特に、「脂肪摂取量が多い人」に対しては、ゼニカルの効果が出やすい傾向があります。
■ 副作用(注意点)
未消化脂肪が便と一緒に出るため、
脂肪便(油っぽい便)
便失禁・ガス漏れ
下痢気味になる
といった消化器系の副作用が多いです。
脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収も減るため、
長期使用する場合はビタミン補充を考慮する必要があります。
✅ ただし、内服を続けるうちに副作用は軽減していくケースも多いです。
■ ゼニカルが向いている人
脂肪摂取量が多い食生活をしている人
脂質カット中心で痩せたい人
食欲はそこまで強くないが、脂っこいものが好きな人
神経系(中枢)に影響を与える薬は避けたい人
逆に、炭水化物中心の食事の場合や、
もともと脂肪摂取が少ない人にはあまり効果が実感できないこともあります。
■ まとめ
✅ ゼニカルは、脂肪の吸収を30%抑えることで、自然に摂取カロリーを減らし、体重減少をサポートする薬。
✅ 1年で体重の5〜10%程度の減少が期待できる。
✅ 脂肪摂取が多い人に特に効果的。
✅ 消化器系の副作用(脂肪便、下痢など)に注意が必要だが、重篤な副作用は少ない。